上州風/創刊号 「瓢箪池」
創刊号の表紙としては、たいそう地味で控えめなビジュアルと首を傾げたくなるかもしれません。でもここは前橋市民にとって、思い出深い眩しい場所なのです。しかも撮影は、詩人の伊藤信吉(故人)。臨江閣の瓢箪池、その向こうにはまるでタイムトンネルかのような前橋児童遊園へつながる隧道が見えます。今は、「るなぱあく」と呼ばれているこの児童遊園はかつて赤城牧場、その昔は厩橋城の空堀だった。その一画に「波宜亭」という茶店があり萩原朔太郎をはじめ多くの詩人たちが集ったのです。朔太郎は『波宜亭』という詩を残し、しかも波宜亭先生と呼ばれていました。そんな詩人たちをめぐるお話が創刊号の特集です。これがきっかけとなって「NPO波宜亭倶楽部」が生まれました。戦後、市民三世代が遊ぶ前橋児童遊園は、今やその波宜亭倶楽部が指定管理者となって、「日本一なつかしい遊園地」というキャッチフレーズでほどよく賑わっているようです。
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