上州風/32号「大きい空、広い河川」
北毛と呼ばれる山間部とその山々を一望できる関東平野の端っこの中毛地区、そして真っ平らにどこまでも広がる太田周辺の東毛地区。どこも同じ上州だというのに随分空の大きさが違う。群馬の山奥を源流とする坂東太郎利根川も下流に行くにしたがってみるみるうちにその姿を変え、これが同じ河川なのかと見まごうほどの変貌ぶりに自分の目を疑ってしまいます。私の居る中毛前橋から車を走らせると今は太田市となってしまった中島知久平の生まれ故郷尾島町あたりから山々が急激に遠ざかって見えるのです。もう太田市街に入ればすっかり北の山並みは影をひそめ、多々良沼近くにある県立館林美術館を訪れると、時々富士山が眺望でき驚かされます。大きな空、広い河川敷があってこその中島飛行機だったと単純な私は感じてしまう。海なし県の上州人が海に憧れ海軍機関学校へ、そこで航空技術に触れて富士重工の前身中島飛行機を起こした航空機王中島知久平の特集です。