上州風/5号「雨上がりの富岡一番」
いまや世界遺産の登録リストに選ばれ多くの見学者が訪れるという富岡製糸場。当時は、容易に取材が許されず繭倉庫へ足を踏み入れることままならず、わけなくピリピリしていました。
さて、本文レイアウトの終盤にさしかかったある朝、しかも雨がそぼ降るまだ薄暗い中、何故か私たちは富岡へ車を走らせていました。富岡一番に着くころにはようやく雨もあがり、あたりは白みはじめていました。製糸場の正面入り口は東に面していて、まるでそこがすべての出発点かのように通りが東にまっすぐのびています。予想通り、どうやら東繭倉庫に朝日があたり始めたのです。富岡製糸場のやけに偉そうな姿に反して、この界隈はほんとに生活感があって庶民的です。新聞の配達を終えたバイクや早朝の散歩の老人、明るくなると次第にあたりが騒がしくなり製糸場も息を吹き返してくるように感じてちょっと感動。この時の写真が表紙になりました。ちなみに左端の自転車は、実は通りすがりの女性に忙しい中何度か通過をお願いしました。
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