玉村町 平和のモニュメント『実りの大地』
ここには、二つの遊び場があります。ひとつは、水遊びの出来る池と流れ。もうひとつは、あたりを見回せる丘です。池には、常に水が沸き出し、中心に置かれた御影石は、自然の割肌をさらしています。青葉の繁る季節に、汗ばむ夏の日に、親子連れがこの池の水に足をひたす様子を、おひさまと、この御影石が優しく見守ります。穏やかなときの流れは平和をやさしく教えてくれます。子どもたちは天をめざすように丘を駆け登り、息をはずませ、池を見下ろします。その時、ふと聞こえるかすかな水の音。丘のてっぺんのケヤキの下に置かれた石に耳をあてると、したたり落ちる水の音が聞こえてくるのです。眼下に広がる池の水、丘の上で音で気配を感じさせる水。子どもたちは、目と耳で別々の「水」を感じることで、より親密に「水」を体感できます。
玉村町にとって、「水」は特別な意味をもっています。かって、この辺り一帯は、烏川、利根川に挟まれながら、高台であったため、乾いた土地が広がるばかりでした。この荒れ地を県内でも有数の稲作地帯に変えたのが、「滝川用水」です。これによってこの地は「実りの大地」に生まれ変わったのです。
「水」は命の源。すべての命が水を必要としています。時に人は、その水を求めて、自然に対して、果敢に挑まなければならないことがあり、その時の苦労や汗、そして技術は、時を経るとともに、「文化」と呼ばれるようになります。現在玉村町は、住み良い町として、全国でも屈指の人口増を誇る町です。水質浄化センターの建設をきっかけに、様々な施設が整いはじめています。
この地の丘と池は、「水」によって結ばれています。丘の上でかすかな音をさせている水は、地下を通り池に沸き出し、水をたたえています。これは、滝川の流れと浄化センターを暗示しています。大地を潤し「水の循環」により、「水と大地が浄化」され、「実り」をもたらします。親水地のメインオブジェの白御影石は、群馬県東村沢入産です。人為的に分割し、ズレを入れ、上部を丹念に磨くことで、自然(石)と人間(加工)の共生や、未来への可能性と希望を表現しました。ここで「水」と戯れ「石」に触れ、丘を走り回ることは、玉村町の「歴史」と「未来」を体感することにほかなりません。
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