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コレクション8 横堀角次郎

 暗く沈んだ表現で麗子像を描いた岸田劉生に影響を受けた横堀角次郎を紹介するコレクション展8は、そんな暗さを払拭するようなシアン色のグラデーションでデザインしました。角次郎は木黄(もっこう)という雅号を持っていて日本画も描いたとか。木黄は横堀の横の部位からとったといいます。けっこう洒落たところがあったのです。随分前、デザインのお仕事で地元の金融機関の本社を訪ねた時、角次郎の作品をを観る機会がありました。故郷によせる愛情のある風景画をPRに活用したらと提案しましたがうまくいきませんでした。とても良いアイデアかと思ったのですが・・・。合併合併でいまはもうその名の金融機関はありません。

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コレクション9 名画の餐宴ーベスト・コレクション

 このコレクション展は名前の通り昭和初期に建てられたという群馬県庁昭和庁舎で続けられました。そんな昭和庁舎昭和の趣にあった展示企画ということでコレクション9のビジュアルは少しばかり装飾的なタイトルとバックの地紋もそんなことを意識したものになりました。ベスト・コレクションとあるように県立近代美術館のコレクション1,700点の中から選りすぐりの東西の名画が展示されたのでした。「名画の餐宴」のタイトル周りにある葉っぱや木の実のシルエットは美術館がある群馬の森で採取したものです。馬のシルエットもやはりそこのあるブルデルのブロンズ像からなのです。裏面の地紋は表面のルドン作《ペガサスにのるミューズ》の部分を使っています。

Kinnbi9


コレクション10 司 修

わが故郷に帰れる日
汽車は烈風の中を突き行けり。
ひとり車窓に目醒むれば
汽笛は闇に吠え叫び
・・・・

前橋人にとってたまらない一節です。
前橋出身の司修氏は執筆活動でも良く知られ、また、詩や文学から強い影響を受けて多くの絵画も制作しています。萩原朔太郎の「郷土望景詩」「漂白の歌」からインスピレーションを受けて作品を残すのも当然に思えます。国民文化祭において司修氏監修の「いのちの詩」の朗読のお手伝いを息子たちとしたことがあり、そこで司氏の指導を受けたことがありす。書籍の挿絵や装丁なども多数手がけ本当に多彩な人です。朔太郎も司氏も前橋にとってかけがえのない人です。

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画面上部の地紋になっている文字は、萩原朔太郎の「帰郷」(氷島より)です。 


コレクション11 美の創り手たちー近代洋画から現代美術まで

 何かの機会に訪れた安中市の新島学園に湯浅一郎が模写したというベラスケス(だったかな?)の大作が鎮座していて度肝をぬかれたことがあります。明治の日本人が緻密で大迫力の西洋画を目の当たりにした時も随分驚いたことでしょう。それからというもの日本は西洋の美術を追い求め吸収してきました。ようやく現代になってそんな呪縛から逃れてきたようです。
 さて、今回は表も裏も黒を地にしたデザインになっています。よくよく見ると黒色の色味と表情(グロスとマット)が僅かに異なる部分があります。この印刷はシアン、マゼンダ、イエロー、ブラックで刷られています。コート(照りのある)紙にブラックのみマットインクで印刷しました。だからブラックのインクがのっている面がマットになって、それ以外が照りのある画面になっています。どうしてブラックがのっていない照りがある面が黒いのかって?どうぞ考えてみてください。

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コレクション12 ルオーの「ミセレーレ」

 ルオーの油彩画は黒い輪郭と重厚な厚塗り表現でとても暗いイメージがあります。版画集《ミセレーレ》も同様で黒一色のモノクロームで重苦しいものです。こういう生と死や醜さや欲などをテーマにして、人々に突きつけることこそアートの役割のひとつです。もちろん作品としての魅力があってこそ訴える力があるのですが・・・。
 さて、今回の印刷色は墨とパール系のキラのあるブルーグリーンをつかった2色刷りです。紙は書籍用紙を使用する工夫をしました。ポスターも色、紙は同様ですが、こちらは《ミセレーレ》の全作品を並べて図録としても活用できるよう苦心しました。全作品が並んだ様子は壮観です。

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