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月刊 まっと/matto

すっきりと、ストレートに内容を伝えるため、毎号1枚の真白のキャンバスにタイトル「matto/まっと」とメインテーマのロゴ、ビジュアルを配して、シンプルに構成した。ちなみにタイトルの「まっと」は群馬の方言でもっと。地方感が全面に出過ぎぬようスタイリッシュなデザインを心がけた。残念ながらvol.14で休刊。

Matto


季刊誌 はぎてい

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上州風/30号「土下座前」

 記念すべき30号に到達した上州風。創刊が1999年冬だから10年という歳月をかけてここまで辿り着きました。当初は季刊誌として年4回のペースでしたが、今は年2回の発行となっています。春と秋のペースだから春秋誌とでも呼びましょうか。
 さて、今回の特集は、勤王の志士たちが「今彦九郎」と崇め尊称した「高山彦九郎」。7号の特集「時代を生きた女性」の取材で訪れた京都において、三条大橋のたもとに鎮座する巨大像を目の当たりしてびっくり。京都御所に向かって土下座する姿のなんと強烈なキャラクター。なるほどこれが彦九郎か〜。表紙は日本中を旅した彦九郎らしく当時交流のあった長久保赤水の起こした日本地図の上に旅するシルエットの彦九郎が上州太田に土下座するシルエットを京都に配しました。ちなみに京阪三条駅前の彦九郎像前は、「土下座前」と呼ばれ絶好の待ち合わせの場所になっているとか。

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上州風/29号 芸妓組合事務所

 随分開発が進んだといっても目をこらして街を歩くと、ここかしこに懐かしいものが飛び込んできます。残念ながら地方都市の中心街はどこもいまや風前の灯火の感で、もしかしてレトロだらけになってしまうかもしれない。日本中風雨をしのげる街路をとアーケードが生まれ、今や老朽化してちょっとした厄介者だとか。新しく見える町並みにも表層を剥がすと幾重にもレトロが顔をだします。そんな街の一画に今も残る前橋芸妓組合事務所が表紙です。それにしてもレトロっていったい何なんだろうか。

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上州風/28号「赤城の山も今宵かぎり~」

 水滸伝なら梁山泊、酒呑童子は大江山、ロビンフッドにゃシャーウッド、ステンカラージンはヴォルガ河、毛沢東なら井崗山、カストロ・ゲバラはシェラマエストラ、国定忠治は赤城山。(「走れ国定忠治」著 朝倉喬司より)これでたんなる任侠ではないことがよくわかる。そんな忠治がテーマの特集です。
 表紙は、田崎草雲の描いた忠治の姿と今も訪れる人が絶えない養寿寺境内の忠治の墓から望んだ夕刻の月。余談ですが「赤城の山も今宵かぎり~」の科白といえば、新国劇。その新国劇出身の緒形拳は、3号で特集した金敷平の画家「山口薫」の作品に魅せられていたとか。また、創刊号で特集した波宜亭先生こと萩原朔太郎は、「自転車日記」という随筆で、手に入れたハイカラ自転車を走らせて忠治の墓を訪れています。

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上州風/27号 先発が今度はリリーフ?

 わけあってしばらく遠ざかっていた上州風。なんと再度お呼びがかかり、久々の登板となりました。先発投手が今度はリリーフ?ほぼワンテーマだった頃と事情が違って特集が三本、しかも共通項が見当たらずちょっと困った。とにかく戸惑いながらも中味が率直に伝わる表紙をこころがけました。
 どれも興味をそそられる特集なだけにタイトルやヴィジュアルも趣向を凝らしてみたものの的が絞れず散漫なってしまったのでは・・・。久々という気負いがあって、ぎこちなさを感じる表紙になったかも、反省・・・。でも中のレイアウトはもう少し良いはず?

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上州風/14号「月と星と太陽」

 この14号をもってしばらく遠ざかった上州風。表紙デザインの金赤の地に白抜きの星と三日月は、トルコの国旗。もちろん白地に赤丸は日本の国旗です。「月と星と太陽」なんと気持ちの良いコンビネーションでしょう。とてもパンチがあって歯切れの良い仕上がりに自分なりに満足しています。
 さて、中味の特集はというと、沼田藩士山田寅次郎の土耳古(トルコ)と日本を結ぶ波瀾万丈の生涯を追ったとても興味深いものでした。サッカーワールドカップで身近になったトルコがこれでまた一歩近しいものになりました。特集できないままになってしまったドイツの建築家ブルーノ・タウトは達磨寺少林山に暮らし、日本文化を世界に紹介した後、実はトルコにおいて客死しています。何故だか寅次郎は茶道宗徧流の家元となり、生涯を終えたのです。

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上州風/13号「特選吟醸 上州風」

 お酒は苦手だけれど、懸命にものつくりをしている人たちを追うのはこの上なく楽しい。酒米つくりから洗米、仕込み、醸造とどの工程も真剣そのものだ。ものつくりが消えつつある中、伝統が息づく酒造りがまだまだ生きていることに感動しました。
 当然、表紙には、地酒造りの工程とその原料の大切さ美しさを込めました。
 酒蔵にお願いして上州風特選の地酒を提供していただき、ラベルもデザイン。読者プレゼントを企画しました。その名も「特選吟醸 上州風」です。たぶんこれがきっかけのひとつとなって、田植えから酒造りまで市民主導の限定酒「緑風街」が生まれました。この地酒は、いまでも特集で紹介していた柳澤酒造で仕込まれています。

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上州風/12号 スポーツ編

 上州風がスポーツをとりあげるのは、ちょっと意外かもしれない。でもやってみると中味はそれなりに無難にまとまっている。デザインはというと、スポーツ雑誌のようにダイナミックでシャープな仕上がりにはなかなかいかず、やっぱり文化誌の感が否めない。サッカーの専門誌だったらトップアスリートの険しい顔とか、グランドを駆け回る選手たちの姿がいきなり目に飛び込む表紙になるだろう。となるとタイトルは、どしっとした形状の太身の上州風というわけにいかないし、判型もひとまわり大きくしたい。そんなことも想像してみたけれど、さしずめとりあげたスポーツのピクトをつくって表紙にもそれを配してお茶を濁してしまった。さて、どうだろうちょっと弱かったかも?とにかく明るく爽やかな表紙にしたかったし、そうしなければならなかった。スポーティーな印象は無いが文化誌らしいそれなりの出来映えになりました。

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上州風/11号 レーモンド作それとも房一郎?

 帝国ホテルの設計で来日したライトの助手としてやってきたアトニー・レーモンンド。その後、日本に残って良いクライアントに恵まれたくさんの仕事を残した。同時期、関西方面で活躍したヴォーリスという建築家も良く知られているけれど、それよりこの群馬高崎ではブルーノ・タウトというドイツ人建築家も忘れてはならない。タウトは建築の仕事には恵まれず、でも多くの日本文化についての著作とデザインの思想を残しました。
 さて、表紙の写真は麻布笄町の自邸兼スタジオで撮影されたもの。これとほぼ同じ(鏡合わせ)ものが高崎市立美術館裏に高崎哲学堂として今も残され保存されています。井上房一郎の自邸として建てたられたものです。この地の高崎音楽センターもレーモンドの設計で上州風2号で紹介している群馬交響楽団の本拠地です。取材で多くのレーモンドの作品を巡ったけれどやはり哲学堂が一番かも。でもこの建物は、房一郎がそっくりまねて造らせたものなのでレーモンド作と言えるのだろうか?

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