手でつくる あそぶ みつける Feed

2012/05/13

223 新聞紙の芽《Minding My Own Business》

 目を凝らしてみると、幾つもの幾つもの小さな芽・・・。
真上から眺めてみれば、切り抜かれた新芽がすくっと立ち上がった姿と切り抜き面の下から唐突に顔を覗かせる画像と文字が、折り重なるようにたち現れ奇妙な空間を感じさせている。
 あまりに微細な表現に心を奪われてしまっていると突然、「東北」「炉心」「死者」「放射能」の見出しが目に飛び込んでくる。なんてことだ、私たちの心を奪うこの繊細な作品が、あの震災の様子を伝える新聞紙面上でつくられているだなんて。
すこしばかり見慣れて鈍感になっている新聞紙面に踊る見出しがあらためて心に響き、小さな芽たちによって判然としなくなってしまっている悲惨な津波や原発の画像がやけに美しく感じる。何故だろう。
 夜明けとともに配達される新聞も次の日には、古新聞になって追いやれて次の役割につく。
3月12日からの七日間7部のこの新聞紙は、アート作品として役割と使命を持って次の時代に受け継がれる。美術館の収蔵作品として・・

未来の芽里親プロジェクト http://www.miraime.jp/
             http://www.facebook.com/mirainome

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2012/02/13

222 氷と戯る

 氷は、冷蔵庫でできるものと相場は決まっている。ところが庭にある、金魚が泳ぐ瓶に分厚い氷が張るということは、戸外が冷蔵庫状態になっているということ。薄氷だったら朝日が上って、日当りが良くなる昼頃には、すっかり解けてしまうはずの例年だが、今年は分けが違う。なんてことだ。昼過ぎてしばらく経過してもこんなにも分厚く、立派な氷が張って、解けぬままなんて・・・。この分厚いお盆のような氷を両手で捧げ、辺りを見渡してみれば、氷を通して別世界が輝き広がっている。空っ風吹くカラカラの乾燥した世界がヒンヤリ氷の世界に変貌します。威勢良く割った氷の破片を掌に入れれば、解け始めた姿が大きな宝石のようだ。舗装道路で石蹴りさながら蹴飛ばしてみればどこまでも飛んで行く氷。
 決して言うまいと思いつつつい「寒い」と口に出てしまうほど寒い日が続いています。
Koori

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2012/02/05

221 アート工作博 「子どもも大人も」

 今回で3回目になる群馬県立近代美術館の「アートまつり」。なんと7つのアート工作コーナーをつくって様々な素材や道具を体験しつつ多彩な表現を試みることができるという盛りだくさんなものになりました。お祭りの屋台や遊園地のアトラクションを巡るようにアートを楽しむというものです。
 ここでは、子どもたちが中心に工作を通してつくる楽しさ、表現のトレーニング、作業の中に隠れている新しい発見や驚きを体験します。同時におとなたちもこれらを一緒に共有できて、日常の忙しさに埋もれてしまっている感性(こどもこころ)を復活させることができるのです。だから子どもたちのために用意した工作コーナーが、実はおとなたちに多いに刺激を与える結果にもなります。また、アート工作博を企画している私たちや、協力参加している学生や美術館のボランティアの皆さんにとってもしかり、全てが実りある体験の場になるのです。
 創作しながら交わされる穏やかな会話、作品を介して生まれる人との出会いや交流、美術館で行われる「おまつり」ならではです。
Hasami
ハサミちょきちょきコーナー

Kaostamp
変額スタンプコーナー

Jisyaku
磁石遊びコーナー

Nerikashi
ネリケシ奇妙生き物コーナー

Yobi
指人形コーナー

Kitte
ちび絵(切手)コーナー

Tsumiki
積み木タワーコーナー

2012/1/29 10:00~12:00/13:00~15:00
群馬県立近代美術館アートまつり「子どもアート工作博」
主催:群馬県立近代美術館
企画/実施:寺澤事務所・工房

2012/01/13

220 引き続き「我が家の計画停電」

 ついつい見入ってしまうゆらゆら揺れるロウソクの火。東日本大震災による計画停電をきっかけに始まった、我が家の月一の計画停電は毎月11日と決めています。いつもの夕食後の団らんは、もっぱらテレビで過ごしますがこの日はそうは行きません。基本電気の使用は禁止ですから。ゆらゆら揺れるロウソクの炎をぼんやりながめているか、家族との会話を楽しむしかありません。震災後の計画停電もそうでしたが、ロウソクと懐中電灯の用意はもちろん、食事も早々に済ませそれに備えました。時折やってくる余震におののきながらの暗闇でしたが、準備からはじまって暗い中でのあれこれ、そして弾む会話が何故かとても新鮮でした。子どもの頃の他愛も無い話や家族の愉快で恥ずかしい出来事など、よく顔が見えないだけにまったく気にならずできました。家族がぐっと近づいた夜でした。以来、毎月11日は、ノー電気ディーとして生活にアクセントをつけています。

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2011/06/23

218 挽き臼体験

 かつて穀物を粉にするのに欠かせなかった、挽き臼をご存知でしょうか。溝の入った大きな丸い石を重ねてすり合わせ、その溝で麦や蕎を粉砕する昔からの道具です。今では、石に刻まれた模様が美しく(構造それ自身に装飾性が内包しているよい例)、しかも滑り止めになることから庭の敷石や飛び石に利用されて、本来とは異なった使われ方で大いにその魅力を発揮しています。よく目を見開いてみると、古い農家の裏庭やお寺の庭園などにここかしこにその姿を発見できるということは、とても身近な道具だったと気付きます。美味しいそば粉がひけるということから、この挽き臼でお蕎を提供している本格的なお蕎屋さんも多くあるようです。
 さて、庭のプランターの下で眠っていた汚れ果てていた挽き臼をきれいに洗い、引き手をつけて粉引き体験を試みました。汗をながしつつ大きな石を回転させるとみるみるうちに白い粉がすりだされてきました。単純だけどなんだか不思議。蕎もうどんも食パンも実は穀物を一旦粉にしていることにちょっと感動。

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2011/03/04

217「糸電話でもしもし」 31人のコミュニケーション

 30人の大学生が紙コップの糸電話で、この実習での感想を伝えあうという愉快なコミュニケーションを行いました。県立健康科学大学の教養科目として設けられている造形芸術の講座最終日のことです。
 ここでは、高校時代にものつくりや表現行為をスルーしてきたアート難民の学生たちと、様々な素材と表現手段で置き去りにしてきた行為を追体験します。すっかり忘れかけていて、こんな機会でもなければ一生行うことすら無い造形活動。落書きのように気ままに描くことや川原で集めた自然物を並べてみたりとそれはそれは自由に感性を働かせ、答えを自分で見つけるというちょっと気のぬけない、でも癒される実習です。最後の個人制作において紙コップで立体作品をつくることを目指していたある学生が迷いに迷って、あげくの果てにつくり上げたのがこの糸電話でした。作品は、計画から完成までの作業行為ばかりか展示したり、活用することまでが作品そのものなのです。今や常に手や懐中にあってコミュニケーションの道具として多いに活用されている携帯電話とは、ひと味違う糸電話。糸から伝わるアナログ感が格別で意外に良く聞こえるばかりか、なによりその暖かみのあるコミュニケーション行為に皆大興奮でした。

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2011/01/25

216 ペッたんこスタンプワークショップの効能

 「ママ びじゅつかんってたのしいね」就学前の幼い女の子の一言です。
楽しいだけの美術館ではどうかと思うけれど、ファーストタッチの美術館が楽しいと感じればきっと将来ボーフレンドと一緒にアートを楽しめる心豊かな女性になってくれるはずです。
 群馬県立近代美術館のアートまつりは、美術館から足が遠のく冬のこの時期に子どもたちとその家族を対象に行われています。今回、寺澤事務所・工房ではホールに幅3m長さ10mに及ぶ大きな紙を2枚も並べて、参加者が手づくりしたゴムスタンプをぺったんこ押しまくるワークショプを企てました。小さな木片に両面テープを貼って、思い思いの形にはさみで切り抜いたゴムシートを貼付けて、即席スタンプで協同作品をつくるとう試みです。
 先ずスタンプづくり作業、次はできたスタンプを持って大きな紙にペタンコ押します。押し方しだいで表情が出て、たくさん押すと模様が連なって、はたまた他のお友達と繋がって思いがけない形が姿を現します。
 押されたスタンプ模様を避けながら、あるいは連なる模様をたどるようにつま先立ちして大きな紙の上を行ったり来たり。本当に子どもたちは遊びの天才です。「なかなかインクが落ちない汚れた手と一緒に靴下もお風呂でゴシゴシ洗濯しました。」というその後の様子も届いて、これこそ子どもたちとのワークショップの効能です。

WSの様子をUSTRAMで配信しました。保存動画が以下でしばらく見られます。
http://bit.ly/f6ANZt
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いつもは静まりかえっている広いホールが、今日はおまつり騒ぎ。

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つま先立ちして大きな紙の上を行ったり来たり。

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汚れた靴下を洗濯するのもWSのつづきです。

2011/1/23 10:00~12:00/13:00~15:00
群馬県立近代美術館アートまつりスペシャル「ペタンコスタンプワークショップ」
主催:群馬県立近代美術館
企画/実施:寺澤事務所・工房

2010/12/28

215 描くココロ

 今、こうしている一瞬も時は刻一刻と過ぎ去り、連なる時間の流れの上にあって決して後もどりできない。絵を描くおもしろさは、実はそんな一瞬一瞬をとどめておくことができるからかもしれません。本当に自分は、この世界に生きているのだと実感できるのです。それが落書きのようなものでも、文字であっても。
 その時、手を動かしココロを動かして痕跡を残すことは、自分とその世界を画面に封じこめることにほかないのです。つまり、描きたくなるのは、知らぬ間に自分を実感したかったり、自分とまわりの出来事を記録したいという本能のようなものの表れなのかもしれません。

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2010/12/20

214 ナンでもカンでもスタンプ その3

『冷蔵庫の中・・・野菜スタンプ』
シシトウ、ブロッコリー、ネギ、インゲン。これって野菜炒め料理の素材?いいえそうではありません。なんとスタンプ遊びの材料です。冷蔵庫の中でしなびて眠っている野菜たちがちょっとした工夫で簡単に楽しいスタンプに変身します。自然にある形は、よくよく見つめてみるとどれもこれも個性的で驚きに充ち満ちています。これらの野菜たちをいろいろな角度に切ったその切り口に思いがけない形が現れて、素敵なスタンプ模様になります。どれもこれも作ろうとおもってなかなかつくれるものではありません。いろんな野菜を組み合わせてクリスマスのカードにいかがでしょう。

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これはブロッコリー

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長ネギの断面

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いろいろためしてみよう


2010/12/10

213 木蓮の葉っぱ収集プロジェクト

 庭にある木蓮の葉がいったいどれほど茂るのだろうか、というそんな素朴な疑問が出発点だ。秋になってつもりに積もった枯葉をひたすら拾い集めてみる。それだけじゃつまらない。この葉が茂り始めた春先からすっかり葉が散るまでの数ヶ月間葉っぱたちの移ろう姿をカメラににおさめてみました。まるで家族の記録写真を撮るように。
 そもそもこの木は、この地へ越してきて間もない20年ほど前に植えられたものです。いつの間にやらりっぱに育ち、太い幹、伸びる枝、そしてたくさんの葉を毎年繁らせます。晩秋木枯らしが吹く頃、庭いっぱいに大きな葉っぱが積もり、掃き集めながらいったいどれだけの葉を茂らせるのか気になっていたのです。
 昨年はこの葉を使って蓑虫のような葉っぱの上着をつくって楽しみました。(このブログの184参照)楽しかった。
 枯葉になって落ちた葉をたんねんに拾い集めました。異例の猛暑になった盛夏には、庭いっぱいの山盛りにしてくれるような青々と生い茂っていた葉も秋になるとやせ細って思いのほかボリュームが無いのに驚きです。

 それでこの枯葉いったいどうしよ~?

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