2016/04/01

234 技術の道

TECHROAD(吉田鉄工所)のCIとサイン計画を紹介させていただきます。

かれこれ今から四半世紀前(1992年にデザイン誌に発表、スタートは1990年頃)に手がけた仕事ですが、昨年(2014年)本社工場移転にともなってロゴの微調整と施設サインデザインを実施しました。

TECHROADは、小さな町工場からスタート、戦後の高度成長期にともない業績を延ばして建設用鉄骨の生産、自動車部品の製造などを手がけ着実に業績を伸ばしてきました。今回、高層ビル対応の鉄骨製作を可能にする広々した本社工場を建設するにあたり、再びお呼びがかかりました。

当時のCIは、社内CI委員会を立ち上げ「TECHROAD」(技術の道)という呼称の提案からロゴ、カラー、ユニフォーム、車両、PR等もろもろのデザインをおこし繰り返しプレゼンを行うという本確的なもでした。製造業ならではの保守的な面があり、殻を破るのにとても苦労した記憶があります。とは言うもののよくぞ駆け出しのデザイナーに任せて、役員が新たなイメージを最終的に承認してくれたものだとつくづく思います。

今回、デザインが時間経過によりどれだけ経年変化しているかを確かめ、リファインする良い機会となりました。思いのほか劣化することもなく、それなりによく馴染んできていると実感できるサインデザイン作業でした。

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2013/10/13

233 新島学園/記憶に刻まれるトイレ 『新島襄のことば』

長らく使われた施設は、次第に汚れ朽ちていき、改修や改築をせまられるものです。この新島学園南校舎のトイレも例外ではありません。 学校で多くを過ごす生徒にとってトイレは、必ず利用するものとして役立っています。 単なる生理的現象を処理する場所としてだけでなく、新しい役割や価値を見いだすことも考えられます。 そこで用を済ませる間、少しばかり寛げ、ゆったりとした時間が過ごせる空間にしつらえることは、とても大切なのではないだろうか? 喧噪から逃れ一瞬の孤独を得る・・・・。清潔に使うことを促す教育的な配慮も・・・。 そこで『新島襄のことば』をグラフィクシンボルとして活用してみしました。 ふと目にとまるデザイン化した文字が模様になって踊り、ちりばめられて・・・。 学園生活の潤いあるアクセントとして、後に記憶に残る不思議なトイレとして。

男子トイレ

Let us be like an unpolished Diamond. Never mind of the outward rough appearance if we could have shining part within.

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女子トイレ

庭上一寒梅 笑侵風雪開 不争又不力 自占百花魁

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2013/08/05

232 ゴム縄トラップ

 ある時はデザイン事務所、ある時は子どもたちの造形教室、稀にアトリエ・・・。
その時々で姿を変えるこの場は、時としてお互いに響き合う素晴らしい環境になります。
 さて、市販の輪ゴムをたくさん用意して、ひたすら「繋げて つなげて ツナゲテ・・・」なんとアトリエ(あるいは事務所?)に張り巡らせてみました。まるで蜘蛛の巣屋敷になってしまったこの場を身体を絡め取られぬよう移動すると、普段はとうていすることのないポーズや動きを導き出してくれます。昔、女子たちの定番遊びのゴム縄跳びはまるで踊りのようなポーズで華麗に飛んでいました。教室の仲間たちも巣にかかってもがいているのはやはり男子たちばかりでした。しばらくこの状態にしておいたので、事務所はすっかり機能停止となっていました。
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2013/07/25

231 雨の日を楽しく

 透明ビニール傘を裏からマーカーでいろんな模様で色つけして、オシャレで楽しい自分だけの傘をつくりました。
 「あめあめ ふれふれ かあさんが  “じゃのめ”でおむかい  うれしいな~」は、憂うつな雨をとても楽しくしてくれる童謡です。この“じゃのめ”は、上端を中心に同心円模様で蛇の目のような大胆なデザインがされている傘「蛇の目傘」のこととか。シトシトと長引く雨はやっぱりうつなものです。そんな時、「ピチピチ  チャプチャプ」と水たまりも物ともせず、元気気分にしてくれるオリジナル傘はいかがでしょうか?雲の切れ目から差し込む日差しで、傘に描いた模様が足元に美しい影をも落とす優れもの傘です。「ランランラン」
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2013/07/21

230 三角形は難しい(鹿北小学校サイン計画)

 丸と三角と四角を並べて、見た目上同等のボリュームと安定した並び方をそれぞれの大きさと色を工夫して提示すせよという難題を出されたことがありました。この戸惑いながら行った学生時代の研究課題は、初めてデザインに向き合った時かもしれません。そもそもそんなこと可能なのかと疑いながら幾つもつくってみて眼をパチクリさせながら配置しては眺め、眺めてては調整した記憶があります。
 丸は究極の形で限りない魅力を持ってます。四角はスケッチブックやキャンバス、建物だって四角で構成されていてとても効率も行儀もイイ。そもそも三角形は難しい。座りが良いかとおもえば、ひどく不安定だったり、ほとんど手に負えないというのが私の印象だ。
 ある日手元に届いた図面、そこから見え隠れする幾つもの三角形。いったいこの施設はどうなっているのか?
 仕方ない三角形のチャレンジです。図面から導きだした不等辺三角形がこの鹿北市立山鹿小学校のサインのベースとなりました。三角形を組み合わせたさまざまなピクトサイン。ガラス面の衝突防止にもこの三角が一定方向を指し示しながらマーキングされています。クラスや他の教室、トイレ等を表示、誘導するボックスサインも不等辺の三角柱です。こちらもある方角を指し示しながら回遊できるよう各所に配置されました。どうでしょうか・・・・?やはり三角形は難しい。
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photo: Satoshi Asakawa

229 等身大の自分を描こう(中河原保育園)

 つい先日まで幼かった子どもたちがどんどん成長して、大人びた言動をしたり手に負えないことがしばしばです。いつの間にか成長した我が子を親たちは実感して、とても頼もしく感じます。子どもたちも自身の変化に気づく良い機会で、自分たちの体の仕組みや成り立ち、お友達との違いにも気付くのです。
 大きな紙に横たわって、自身のシルエットを大人たちになぞってもらいましょう。それぞれダイナミックなポーズをとって。頭、顔、肩、腕、手、胸にお腹に腰、足・・・・はて、それぞれの役割と機能は?
 現れたシルエットは意外に大きかったのに驚きます。身につけている衣服の様子や手足、もちろん顔や頭髪を描き進めると等身大の分身が姿をを見せます。自分というやつを理解するには、自分自身を描くことでより深く客観的になれます。卒園前の最後の保育参観日でのワークショップです。
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卒園式の日、園内に展示しました。(中河原保育園:http://www9.plala.or.jp/nakaho/)
 

2013/06/09

228 ナンバーサインと3,000枚の茶葉/お茶工場

造船技術を活かした船底を思わせるダイナミックなプラットフォームを持つこの施設は、多種多様な茶をつくりだす工場です。お茶の製造にふさわしい風光明媚な滋賀県甲賀市につくられたこの施設では頻繁に茶葉等の物資の搬出入が行われ、これらが滞りなく行われるためにプラットフォームのナンバーサインの存在はとても重要でした。庇にあたる稀な位置にサインを配置することを余儀無くされ、限られたスペースに素材感や昼夜の見え方をも考慮したスマートで視認性を考えたデザインがいく度となく検討されました。また、施設内外には、3,000枚を超える茶葉をシンボライズした模様がガラス面にマーキングされ、ブレンド等の製茶作業に欠かせない各スペースにはその工程を表すピクトサインも用意しました。時として無味乾燥な環境になりがちな工場施設を温かみのあもへとひたすら心がけたのです。
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photo: Satoshi Asakawa

227 ツミツミピクニック in 群馬県立近代美術館/「TSUMIKIT」

木片を使って遊びながらさまざまな感覚経験やコミュニケーションを促す「TSUMIKIT」の第2弾が、高崎の群馬県立近代美術館において行われました。美術館ホールという環境で、しかも参加者数が読めないワークショプとあって木片の調達は、前回の高崎市市民活動支援センター(高崎市教育委員会主催)をこえるかなりの量を用意しました。その広々としたのびやかな空間を外部空間にみたてて参加者グループがあたかもピクニックするかのように、ここかしこにシートを敷いて「ツミツミピクニック」をするという仕掛けです。入口には山積みの木片が出迎え各所に設けたコーナーでいくつかの指令、例えば身体と心をほぐす「ツミキット体操」。「ざらざら」「つるつる」「トントン」「クンクン」など木という素材にグッと近づける体験等をしてからそれぞれが自由に楽しみます。木片で文字メッセージを作ったり、この場の環境を上手く利用した創造的な積み方を試みたり、型にはまらない表現を見せてくれました。また、今回も木片に彩色して自分だけの積み木を作って持ち帰ることができました。

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群馬県立近代美術館(高崎市綿貫町 群馬の森公園内)
主催:群馬県立近代美術館
企画/実施:寺澤事務所・工房
協力:清水製凾、育英短期大学、中央情報経理専門学校保育福祉課

2013/02/12

226 シャボン玉保育園「お話のシャボン玉」

 そっと息を吹込むと虹色に輝きながら幾つもいくつも生まれ、風にのって気ままに漂うシャボン玉。みんなの周りを楽しく遊んでいたかと思うと、次は風に吹かれて高く舞い上がってしまう。いったいどこまで行ってしまうのだろうか。
 シャボン玉は、子どもたちみんなの思いをのせて知らない世界を旅してくれる。優しく不思議な国へと誘います。
 この施設は、大小の丸窓をしつらえた外光を思う存分取り込む明るい保育園として計画されました。そんなことから施設のグラフィクテーマは、子どもたちの夢をのせるシャボン玉。子どもたちは大きなシャボンに入り込んだり、小さなシャボンを覗き込んだり自由気ままに楽しめます。園舎の幾つもの丸窓とそこから差し込む日差しや影と一体となって心を漂わせる不思議空間を目指しました。
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photo:Shinya Kigure

225 思い出ワークショップとスタンプグラフィック

旧園舎と新園舎を結ぶ創造的ワークショプ
 中河原保育園は、新園舎建設を進めるなかで旧園舎の思い出をより深く心に刻めないものかと思いめぐらしました。長きにわたり多くの園児を見守ってきたかけがえのない施設とお別れすることは、とても忍びないことだったからです。そこで思い出深い旧園舎とお別れする前に、園児たちとともに幾つかの創造的で楽しいワークショップを実施することにしたのでした。
 そのワークショップのひとつに「思い出の不思議な模様、カタチ(旧保育園舎思い出スタンプ)」があります。それは旧園舎の鍵穴、ネジの頭、ぎざぎざ、あちこちの思い出深い凸凹を探しだして、紙粘土をつかって型取りする思い出のスタンプつくりです。後日、どこで採取したか思い出しながら、新園舎で大きな紙にみんなでスタンプして遊びました。そして、このスタンプ模様が各クラスのお花のピクトサインに、花模様が遊戯室のグラフィックに、99種の模様が衝突防止マーキングとして活用されました。新しい園舎に旧園舎の面影と園児たちの行為が重なりあってグラフィックに生かされた良い例となったのです。
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出来上がったスタンプとカード
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スタンプを楽しむ子どもたち
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スタンプ模様が新園舎の衝突防止のグラフィクに活用されている。

2012/08/10

224 TSUMIKIT

 ツミキット(TSUMIKIT)は就学前(3〜5歳)の子どもたちがパパママたちと楽しく廃材の木っ端で積み木遊びと、自分たちだけの積み木セットをつくる「遊びとつくるを連携させたワークショップ」です。まずは、ツミキット体操からスタートだ。木工所から提供された木片はふぞろいで、使ってみると予想できないおもしろさがいっぱい。積み上げる高さを競いあったり、協力し合っていろいろなものをつくりあげます。参加者には「できるかな?手をつかわずに積み木せよ。」「Freeeeeeze!とうさんのおなかの上で積み木せよ。」など無理難題の指令(ツミキミッション)がつぎつぎ出されて、これを親子で、みんなで、仲良く解決します。最後になじんだ木片を選んで彩色、積み木袋につめて自分だけの積み木セットをつくって、ここでの愉快な経験をお家に持ち帰ります。

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ツミキットのお兄さんによるツミキット体操

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「Freeeeeeze!とうさんのおなかの上で積み木せよ。」

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ツミキット・アニメーション配信中 http://www.youtube.com/watch?v=x7lbYcPnn7Q

2012/7/14 10:00~12:00
高崎市民支援センター
対象:就学前の子どもたちと父母
主催:高崎市教育委員会
企画/実施:寺澤事務所・工房
協力:清水製凾


2012/05/13

223 新聞紙の芽《Minding My Own Business》

 目を凝らしてみると、幾つもの幾つもの小さな芽・・・。
真上から眺めてみれば、切り抜かれた新芽がすくっと立ち上がった姿と切り抜き面の下から唐突に顔を覗かせる画像と文字が、折り重なるようにたち現れ奇妙な空間を感じさせている。
 あまりに微細な表現に心を奪われてしまっていると突然、「東北」「炉心」「死者」「放射能」の見出しが目に飛び込んでくる。なんてことだ、私たちの心を奪うこの繊細な作品が、あの震災の様子を伝える新聞紙面上でつくられているだなんて。
すこしばかり見慣れて鈍感になっている新聞紙面に踊る見出しがあらためて心に響き、小さな芽たちによって判然としなくなってしまっている悲惨な津波や原発の画像がやけに美しく感じる。何故だろう。
 夜明けとともに配達される新聞も次の日には、古新聞になって追いやれて次の役割につく。
3月12日からの七日間7部のこの新聞紙は、アート作品として役割と使命を持って次の時代に受け継がれる。美術館の収蔵作品として・・

未来の芽里親プロジェクト http://www.miraime.jp/
             http://www.facebook.com/mirainome

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2012/02/13

222 氷と戯る

 氷は、冷蔵庫でできるものと相場は決まっている。ところが庭にある、金魚が泳ぐ瓶に分厚い氷が張るということは、戸外が冷蔵庫状態になっているということ。薄氷だったら朝日が上って、日当りが良くなる昼頃には、すっかり解けてしまうはずの例年だが、今年は分けが違う。なんてことだ。昼過ぎてしばらく経過してもこんなにも分厚く、立派な氷が張って、解けぬままなんて・・・。この分厚いお盆のような氷を両手で捧げ、辺りを見渡してみれば、氷を通して別世界が輝き広がっている。空っ風吹くカラカラの乾燥した世界がヒンヤリ氷の世界に変貌します。威勢良く割った氷の破片を掌に入れれば、解け始めた姿が大きな宝石のようだ。舗装道路で石蹴りさながら蹴飛ばしてみればどこまでも飛んで行く氷。
 決して言うまいと思いつつつい「寒い」と口に出てしまうほど寒い日が続いています。
Koori

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2012/02/05

221 アート工作博 「子どもも大人も」

 今回で3回目になる群馬県立近代美術館の「アートまつり」。なんと7つのアート工作コーナーをつくって様々な素材や道具を体験しつつ多彩な表現を試みることができるという盛りだくさんなものになりました。お祭りの屋台や遊園地のアトラクションを巡るようにアートを楽しむというものです。
 ここでは、子どもたちが中心に工作を通してつくる楽しさ、表現のトレーニング、作業の中に隠れている新しい発見や驚きを体験します。同時におとなたちもこれらを一緒に共有できて、日常の忙しさに埋もれてしまっている感性(こどもこころ)を復活させることができるのです。だから子どもたちのために用意した工作コーナーが、実はおとなたちに多いに刺激を与える結果にもなります。また、アート工作博を企画している私たちや、協力参加している学生や美術館のボランティアの皆さんにとってもしかり、全てが実りある体験の場になるのです。
 創作しながら交わされる穏やかな会話、作品を介して生まれる人との出会いや交流、美術館で行われる「おまつり」ならではです。
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ハサミちょきちょきコーナー

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変額スタンプコーナー

Jisyaku
磁石遊びコーナー

Nerikashi
ネリケシ奇妙生き物コーナー

Yobi
指人形コーナー

Kitte
ちび絵(切手)コーナー

Tsumiki
積み木タワーコーナー

2012/1/29 10:00~12:00/13:00~15:00
群馬県立近代美術館アートまつり「子どもアート工作博」
主催:群馬県立近代美術館
企画/実施:寺澤事務所・工房

2012/01/13

220 引き続き「我が家の計画停電」

 ついつい見入ってしまうゆらゆら揺れるロウソクの火。東日本大震災による計画停電をきっかけに始まった、我が家の月一の計画停電は毎月11日と決めています。いつもの夕食後の団らんは、もっぱらテレビで過ごしますがこの日はそうは行きません。基本電気の使用は禁止ですから。ゆらゆら揺れるロウソクの炎をぼんやりながめているか、家族との会話を楽しむしかありません。震災後の計画停電もそうでしたが、ロウソクと懐中電灯の用意はもちろん、食事も早々に済ませそれに備えました。時折やってくる余震におののきながらの暗闇でしたが、準備からはじまって暗い中でのあれこれ、そして弾む会話が何故かとても新鮮でした。子どもの頃の他愛も無い話や家族の愉快で恥ずかしい出来事など、よく顔が見えないだけにまったく気にならずできました。家族がぐっと近づいた夜でした。以来、毎月11日は、ノー電気ディーとして生活にアクセントをつけています。

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2011/10/17

219 屋根の上を遊ぶ

 このアトリエの屋根は傾斜が弱く、隣の物置によじ上ってから勇気をふりしぼって注意深く飛び移れば、簡単にたどりつける別世界です。屋根の上はどちらかと言えば鳥や猫たちの世界。そんな非日常を求めて屋根に上がってみました。屋上と違って階段もなければ、もちろん手すりすら無いものだから危険きわまりない。恐怖心をかなぐり捨てて、上ってみてみればそこには見晴らしの良い景色とそれはそれは大きな空が広がっています。あの3月11日の東日本大震災の大津波で岩手県大槌町の民宿の屋根に乗り上げてしまった遊覧船「はまゆり」の異様な映像を見てとてもショックをうけたのを思い出します。あれ以来、やはり地震で瓦が落ちてしまってブルーシートをかけた屋根がとても気になっていました。最近は、太陽光発電パネルがやけに目につくようになりました。やはり禁断の領域、屋根の上は鳥や猫たちと太陽光発電パネルにおまかせにしたほうがよいかもしれません。

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2011/06/23

218 挽き臼体験

 かつて穀物を粉にするのに欠かせなかった、挽き臼をご存知でしょうか。溝の入った大きな丸い石を重ねてすり合わせ、その溝で麦や蕎を粉砕する昔からの道具です。今では、石に刻まれた模様が美しく(構造それ自身に装飾性が内包しているよい例)、しかも滑り止めになることから庭の敷石や飛び石に利用されて、本来とは異なった使われ方で大いにその魅力を発揮しています。よく目を見開いてみると、古い農家の裏庭やお寺の庭園などにここかしこにその姿を発見できるということは、とても身近な道具だったと気付きます。美味しいそば粉がひけるということから、この挽き臼でお蕎を提供している本格的なお蕎屋さんも多くあるようです。
 さて、庭のプランターの下で眠っていた汚れ果てていた挽き臼をきれいに洗い、引き手をつけて粉引き体験を試みました。汗をながしつつ大きな石を回転させるとみるみるうちに白い粉がすりだされてきました。単純だけどなんだか不思議。蕎もうどんも食パンも実は穀物を一旦粉にしていることにちょっと感動。

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2011/03/04

217「糸電話でもしもし」 31人のコミュニケーション

 30人の大学生が紙コップの糸電話で、この実習での感想を伝えあうという愉快なコミュニケーションを行いました。県立健康科学大学の教養科目として設けられている造形芸術の講座最終日のことです。
 ここでは、高校時代にものつくりや表現行為をスルーしてきたアート難民の学生たちと、様々な素材と表現手段で置き去りにしてきた行為を追体験します。すっかり忘れかけていて、こんな機会でもなければ一生行うことすら無い造形活動。落書きのように気ままに描くことや川原で集めた自然物を並べてみたりとそれはそれは自由に感性を働かせ、答えを自分で見つけるというちょっと気のぬけない、でも癒される実習です。最後の個人制作において紙コップで立体作品をつくることを目指していたある学生が迷いに迷って、あげくの果てにつくり上げたのがこの糸電話でした。作品は、計画から完成までの作業行為ばかりか展示したり、活用することまでが作品そのものなのです。今や常に手や懐中にあってコミュニケーションの道具として多いに活用されている携帯電話とは、ひと味違う糸電話。糸から伝わるアナログ感が格別で意外に良く聞こえるばかりか、なによりその暖かみのあるコミュニケーション行為に皆大興奮でした。

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2011/01/25

216 ペッたんこスタンプワークショップの効能

 「ママ びじゅつかんってたのしいね」就学前の幼い女の子の一言です。
楽しいだけの美術館ではどうかと思うけれど、ファーストタッチの美術館が楽しいと感じればきっと将来ボーフレンドと一緒にアートを楽しめる心豊かな女性になってくれるはずです。
 群馬県立近代美術館のアートまつりは、美術館から足が遠のく冬のこの時期に子どもたちとその家族を対象に行われています。今回、寺澤事務所・工房ではホールに幅3m長さ10mに及ぶ大きな紙を2枚も並べて、参加者が手づくりしたゴムスタンプをぺったんこ押しまくるワークショプを企てました。小さな木片に両面テープを貼って、思い思いの形にはさみで切り抜いたゴムシートを貼付けて、即席スタンプで協同作品をつくるとう試みです。
 先ずスタンプづくり作業、次はできたスタンプを持って大きな紙にペタンコ押します。押し方しだいで表情が出て、たくさん押すと模様が連なって、はたまた他のお友達と繋がって思いがけない形が姿を現します。
 押されたスタンプ模様を避けながら、あるいは連なる模様をたどるようにつま先立ちして大きな紙の上を行ったり来たり。本当に子どもたちは遊びの天才です。「なかなかインクが落ちない汚れた手と一緒に靴下もお風呂でゴシゴシ洗濯しました。」というその後の様子も届いて、これこそ子どもたちとのワークショップの効能です。

WSの様子をUSTRAMで配信しました。保存動画が以下でしばらく見られます。
http://bit.ly/f6ANZt
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いつもは静まりかえっている広いホールが、今日はおまつり騒ぎ。

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つま先立ちして大きな紙の上を行ったり来たり。

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汚れた靴下を洗濯するのもWSのつづきです。

2011/1/23 10:00~12:00/13:00~15:00
群馬県立近代美術館アートまつりスペシャル「ペタンコスタンプワークショップ」
主催:群馬県立近代美術館
企画/実施:寺澤事務所・工房

2010/12/28

215 描くココロ

 今、こうしている一瞬も時は刻一刻と過ぎ去り、連なる時間の流れの上にあって決して後もどりできない。絵を描くおもしろさは、実はそんな一瞬一瞬をとどめておくことができるからかもしれません。本当に自分は、この世界に生きているのだと実感できるのです。それが落書きのようなものでも、文字であっても。
 その時、手を動かしココロを動かして痕跡を残すことは、自分とその世界を画面に封じこめることにほかないのです。つまり、描きたくなるのは、知らぬ間に自分を実感したかったり、自分とまわりの出来事を記録したいという本能のようなものの表れなのかもしれません。

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2010/12/20

214 ナンでもカンでもスタンプ その3

『冷蔵庫の中・・・野菜スタンプ』
シシトウ、ブロッコリー、ネギ、インゲン。これって野菜炒め料理の素材?いいえそうではありません。なんとスタンプ遊びの材料です。冷蔵庫の中でしなびて眠っている野菜たちがちょっとした工夫で簡単に楽しいスタンプに変身します。自然にある形は、よくよく見つめてみるとどれもこれも個性的で驚きに充ち満ちています。これらの野菜たちをいろいろな角度に切ったその切り口に思いがけない形が現れて、素敵なスタンプ模様になります。どれもこれも作ろうとおもってなかなかつくれるものではありません。いろんな野菜を組み合わせてクリスマスのカードにいかがでしょう。

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これはブロッコリー

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長ネギの断面

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いろいろためしてみよう


2010/12/10

213 木蓮の葉っぱ収集プロジェクト

 庭にある木蓮の葉がいったいどれほど茂るのだろうか、というそんな素朴な疑問が出発点だ。秋になってつもりに積もった枯葉をひたすら拾い集めてみる。それだけじゃつまらない。この葉が茂り始めた春先からすっかり葉が散るまでの数ヶ月間葉っぱたちの移ろう姿をカメラににおさめてみました。まるで家族の記録写真を撮るように。
 そもそもこの木は、この地へ越してきて間もない20年ほど前に植えられたものです。いつの間にやらりっぱに育ち、太い幹、伸びる枝、そしてたくさんの葉を毎年繁らせます。晩秋木枯らしが吹く頃、庭いっぱいに大きな葉っぱが積もり、掃き集めながらいったいどれだけの葉を茂らせるのか気になっていたのです。
 昨年はこの葉を使って蓑虫のような葉っぱの上着をつくって楽しみました。(このブログの184参照)楽しかった。
 枯葉になって落ちた葉をたんねんに拾い集めました。異例の猛暑になった盛夏には、庭いっぱいの山盛りにしてくれるような青々と生い茂っていた葉も秋になるとやせ細って思いのほかボリュームが無いのに驚きです。

 それでこの枯葉いったいどうしよ~?

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2010/11/22

212 「ドングリ家族の大集会」

カシワ、ミズナラ、コナラ、クヌギ、ナラガシワ、アベマキ、ブナ、ウバメガシ、イチイガシ、アカガシ、アラカシ、ウラジロガシ、ツクバネガシ、シリブカガシ、マテバシイ、スダジイ、ツブラジイ、驚いたことにこれみんなどんぐりたちが実る木々らしい。以前、福岡生まれの知人から煎ったシイの実が露天で今でも売られていてとても美味しいと聞きました。人類がドングリを主食にしていた時代があって、土器はドングリの灰汁(あく)ぬきのため発明されたと言われています。さて、「ドングリ家族の大集会」を清々しい秋晴れの“るなぱぁく”で行いました。たわわに実ったたくさんのドングリの中から自分の家族によく似たドングリを発見して、それぞれに目鼻を描いてドングリファミリーをこしらえるのです。家族のこといつも空気のような存在で、とても大切なのに時々忘れてしまうことよくあることです。できあがったドングリたちを仲良く並べてみたら一粒のちさなドングリが人と人、家族の心を繋ぐインターフェイスになるかも知れません。ドングリは人類になくてはならない木の実だったのを実感します。

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せいぞろいしたドングリ家族たち

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2010/11/13

211 ナンでもカンでもスタンプ その2

『ごろごろどこまでも・・・つながりスタンプ』
コルクでできたワインの蓋は、洒落ていてあっさり捨ててしまうには惜しい。だからと言って何に利用するか思いつかなかったけれど、コロコロスタンプに最適なことを発見しました。紀元前の古代メソポタミアでは、シリンダーと呼ばれている円筒印章を粘土に押し付けて図や文字を転写していました。ここでは、父さん母さんの飲んだワインのコルクに両面テープを貼ってタコ糸をクネラせながら巻いていきます。途中で輪っかにしてみり波模様にしてみたりしてみましょう。できあがったらたっぷりインクをつけて、大きな紙にゴロゴロやってみましょう。そう言えば、縄文土器も縄を土器表面の粘土にゴロゴロはわせて模様をつけたんだった。トイレットペーパーやテープの芯など円筒形のものだったら大丈夫だね。さがして試してみよう。

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大きな紙だと気持ちいい

210 ナンでもカンでもスタンプ その1

汚れてしまった手で物に触れると指紋や手形がつくというあたりえの事象が、ちょっとした造形遊びのきっかけになります。もともと別の作業をしていたのに、偶然白い紙に指跡がついてなんだか不愉快だったけど、気をとりなおして前向きな気持ちになって、この際だからペタペタやってしまえとばかりに指先から手のひらまで色だらけにして「ナンデモカンでもスタンプ」だ。来年の干支は、ウサギだから小指はピンとのびた耳。親指が身体だったら、しっぽは人差し指でチョコンと・・・。いろいろ工夫して試みてみましょう。汚れた手はあとでしっかり洗えば良いのだから。

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あれ?ねずみかな

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2010/11/09

209 水切りの石

今回で8回目を迎える野焼きパーティーは、今年も好天に恵まれ、ちょっと暑いくらいの日差しの中、無事終わりました。野焼きは、原始人になりきって自分でつくた粘土の作品を鏑川の河原で素焼きするイベント。ここでは、マッチで火をつけたり燃え盛る炎の強烈な熱さを感じて自然の力を思う存分体験するのです。この石ころだらけの河原だったら、当然思いつくのが水切りです。ゆっくり流れる川面に点々と石が水を切ってまるでトビウオか産卵するシオカラトンボのように進むと、それはそれはスカットします。そんな爽快な気持ちになるには、円盤状の都合の良い小石を見つけ出すのが肝、それから野球でいうサイドスローで川面に滑るように超スピードで投げることが要求されます。なんとギネス世界記録は、51段という強者がいて大の大人が夢中になっているとか。掌に馴染む水切りに最適な小石を見つけると、どこまでも水を切って飛んでいきそうなので、ついついポケットに入れて持ち帰ってしまいます。

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水切り用石コレクション

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見上げるとこんな清々しい空

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2010/11/04

208 暗闇は無限に広がる(DIALOG IN THE DARKにて)

 歳を重ねると幾つもの体験を積んで、初めてのこともほとんど分かったつもりになったり、以前の経験から想像することで感激が薄れてしまったりで何だかつまらない。
 出会った仲間6人と共にとてつもなく刺激的な?秋の大運動会を楽しみました。先ずは恒例の玉入れ、次はリレー、最後は宝探しと。汗をかいた後は皆で干草の上に横になってしばし休憩。お次はカフェへ、それぞれ好みのドリンクで喉を潤しながらおかれた状況を懸命に把握しながら五感をフル回転させ・・・。
 なにあろうこの体験は、真っ暗闇での出来事と聞いて驚かれることでしょう。眼の不自由なアテンドの導きで怖る怖るの未知の世界は、どれもこれも本来明るい日の光の下、視覚をたよりに行うはずのもの。手をのばした僅かな空間が感じとれる最初の世界。次第に同行する仲間たちの息づかいを感じ、世界が広がります。でも光の無い暗闇は、実は流れる空気や遠くで響く音を感じとれる全てが私たちの世界で、目で見渡せる以上に大きく無限なんだと感じます。見ることでいかに分かったつもりになって世界を狭めているかを知りました。
ダイアログインザダーク
http://www.dialoginthedark.com/forv/index.html

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2010/10/24

207 マキワリ少年

スキマスイッチの「全力少年」は、♩積み上げたものぶっ壊して、身に着けたもの取っ払って〜渇いた脳を潤せ〜僕らは全力で少年だった〜♩と唱う。そして、♩遊ぶこと忘れてたら老いて枯れんだ(置いて行かれんだ)ガラクタの中に輝いていた物がいっぱいあったろう?♩と続く。で今回は、「全力少年」真っ最中の唱くんの薪割りを紹介します。今時、鉈(ナタ)を常備してある家なんて探してもなかなかありません。子どもの手には少々重いアトリエの鉈は、柄に藤丸屋という屋号の焼き印の入ったなかなかの年季もの。きっと昔、宿の囲炉裏や竃(かまど)、風呂等の火おこしに使用人たちが重宝していたことがうかがえます。木工作ではノコギリでギコギコ、カナヅチでトントンが定番ですが、もっと素早く角材を切れないかと道具入れの奥から引っぱりだしてきたのがこの鉈というわけです。やっぱりノコギリのように美しくきちんと切れませんが、鉈ならではのダイナミックな作業は、少年にとってとてつもなく刺激的な行為だったようです。それで彼の歌は、♩怯えていたら何も生まれない〜セカイを開くのは僕だ〜で終わるとってもイイ歌詞です。

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「これはちょっと無理でしょう」


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2010/10/09

206 分解ワクワク

音の出なくなったラジオ、動かなくなったゼンマイ式目覚まし時計、古ぼけた小型フィルムカメラ。すっかり使い物にならなくなってしまったガラクタたち。どれもこれも立派に動いて役にたっていたのに、何だか愛おしい。最近のラジオや時計、カメラたちはハイテクになってとてもじゃない手に負えない。でも、旧式機器たちだったら何とかなりそうだし、このまま廃棄処分じゃもったいない。せっかくだからいったいどんな仕組みになっているのか分解してみました。ネジを外し、そっとボディを開けると普段は見られない中味が姿を現し、赤や白のコード、歯車やぐるぐるまきのゼンマイ、小さなバネやピン。たくさんの部品が片寄せ合っています。なんてわくわくさせるのでしょう。ちょっとした拍子に音を立てて動き出してびっくり。それぞれ部品が何処かへいかぬよう、どこに使われていたか忘れぬよう注意しましょう。ほどよくバラバラになったら、こんどは組み立てです。すっかり元通りになったら分解組み立て作業は完了。何?ネジが一本余ってしまった。

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ねんのため部品をスケッチ

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無事完成

2010/09/07

205「水」遊び

本当はのんびりするためにあるはずなのに、宿題に追われたり、度重なる行事や旅行で、目一杯になってしまう夏休みが、いつの間にか終わりを告げました。でも猛暑はそのまま。なので新学期のアトリエは、いまだ夏休み気分はぬけぬまま。火照ったからだをクールダウンさせるために、土間にブルーシートを敷き詰めて水遊びです。各自小さなヨットと言おうか帆かけの船を手つくりして、浮かべてみました。素足になってアトリエの中に大きな水たまりをつくることも、みんながやって。コースも用意して団扇をあおいで「よーいスタート」。地球は水の星と言われるほどたくさんの水でなりたっていて、人間の身体のそのほとんどが水でできているそうです。身近すぎてそのありがた味をちっとも感じない。本当は、素材としての「水」。例えばガラスのような真っ平らな水面、広がる波形。水滴が踊る姿。スポンジなどにしみ込む様子、蒸気になって姿を変えたり、ヒンヤリ冷たい氷の触感。多様な水の姿や不思議さを感じて遊びや創造活動に繋げたかったのだけど・・・・。それは次に機会です。

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204 つながる段ボールハウス(中河原保育園にて)

ここちよい自分世界を堪能できる段ボールハウス。(このブログと同名の拙書「手であそぶみつける」上毛新聞社刊 / ISBN9784863520134の中で詳しく紹介しています)廃材の段ボール箱を使って、入口とちょっとした窓をあけるだけで簡単に工作を楽しめて、自分だけの住処をこしらえることができます。そんな手軽な工作を中河原保育園の仲間たちといっしょに行いました。自分たちの手でこしらえる段ボール工作の楽しさもさることながら、ここでは仲間の家を訪れたり、招きいれたり。そして、ひしめきあうほど仲間が入って触れ合うことも体感しました。共に「つくって」「あそぶ」ことがどうしてこんなにも刺激的で興奮することなのか不思議でしかたありません。最後に出来上がったハウスを全て「つなぎ」あわせて、一体感のある「つながり段ボールハウス」にしました。まるで大きな家に住む大きな家族のように、回廊になったハウスを皆でトンネルくぐりをするように巡りました。

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2010/08/07

203 染み込む絵

アトリエの入り口には、おおよそ3坪ほどのコンクリートでかためた土間があります。宅急便の受け渡しやちょっとした来訪者との立ち話、打ち合わせなど靴のままですますことのできる便利な空間です。もちろん汚れたり、ゴミのでる作業は、もっぱらこの土間で行います。この夏は、猛暑をしのぐため何度となくこの土間に水を打って涼を求めています。でもやっぱり暑い日は、雷とともにやってくる本物の夕立こそ私たちの火照を鎮めてくれます。焼けた地面にポツポツと落ちる大粒の雨の跡とともに鼻孔に飛び込んでくる夕立の匂い・・・なんだかたまりません。せっかくだからこの土間をキャンバスにして、たっぷりと水を含ませた太い筆で絵を描いてみました。水の染み込んだ筆跡がみるみる伸びやかかに広がります。てらうことなんかありません。一気に描ききらねばなりません。だってみるみるうちにぼんやりしてきて、終いには跡形もなく消え失せてしまいます。ところで、昔に比べて、なんだか夕立が少なくなったように感じます。

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2010/06/13

202 砂鉄マラソン

子どもの私にとって、壊れたモーターを分解すると現れる磁石という金属塊はとてつもない発見と喜びでした。何故モーターの中に磁石があるのか?どうして動くのか?よくわからなかったけれど、出てきた磁石は宝物で、その磁石で集めた砂鉄もとても不思議でならなかった。下敷きの上に砂鉄をのせて下から磁石を動かすと、まるで小さな生き物のように踊りだした。理科の実験でもそんなことをしたけれど、工作や遊び気分だった。そのころ、冒険へ旅立つ時に持参するものは?と聞かれたら、虫眼鏡や肥後守(和製ナイフ)とともに常に携行したい大切な道具類のひとつにあげたかもしれない。さて、もはや見向きもされなくなった磁石と砂鉄でひと遊びです。簡単です。厚紙に砂鉄選手が走るコースを描いてヨーイドンでマラソンです。厚紙の下から磁石を動かすと、小さな砂鉄たちがまるでマラソン選手のようにかたまりになって走りだします。途中棄権する選手がいたり、コースアウトしてしまう砂鉄君がいたりでけっこう愉快です。

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2010/03/27

201 ドングリ小僧 Hide&Seek 続編

 ドングリたちを街にかくしました。
 かくれんぼで、鬼にみつからぬよう上手にかくれるのには、鬼から見て死角になるような意外性のある場所がイイ。周りの様子をうかがえて、しかも居心地が大切。注意しなければならないのは、周りがほとんどうかがい知れぬ奥深い場所に入り込んでしまうことです。いったい何処にかくれたのか自分ですらわからなくなるほど真剣にかくれると、みなから忘れ去られてしまう。という恐ろしいことになってしまいます。
 残念なことに、街中の新しい建物のほとんどは、安全性を考慮して、私たちはおろかドングリ小僧たちがかくれる僅かな空間すらなかなか見当たりません。ドングリたちのかくれ場さがしであちこち彷徨い歩き、見えていなかった街の様子が見えてくる。建物の構造や道路の段差。街の表層しか見ていなかったことによく気づく。工夫された色鮮やかな看板を見てもドングリの隠れ家になりそうな隙間ばかりが目に飛び込んできます。きっとみんなが、ドングリ小僧たちを探す時にも同じ現象がおこるはずです。ドングリたちの様子を思い描きながら隠れた状態をイメージして、ドングリの目線で街(環境)をながめると見えない(見えていなかった)ものが見えてきます。

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2010/03/22

200 ドングリ小僧 Hide&Seek

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ここにエントリーしたドングリ小僧たちは、群馬県立近代美術館アートまつりの「ドングリ小僧の大集会」会場で生まれました。それぞれが目鼻が描かれただけでなく、名前やニックネームがあったり、年齢や性別があるばかりか、住処や得意技をももっているのです。そんな個性的なドングリ小僧たちは、生みの親のイベント参加者から離れて前橋中心市街地の何処かに隠れます。その場所は残念ながら秘密なのです。でも、グーグルマップにドングリ小僧たちが隠れた様子をちょっとだけアップするので、それを手がかりにぜひ探しあててみてください。もし出会えることができたなら手元におくのも良し、新たに街のどこかに隠してみるのも良いでしょう。見つからない行方知らず小僧たちは、きっと冒険の旅に出るのかもしれません。だから何かの時に思い出したら、街の看板の裏やブロック塀の上、側溝の中など・・・ぜひ目を向けてみてください。放浪のドングリ小僧たちがひょっこり顔をだすかもしれません。

http://bit.ly/2CpeWa
(ドングリ! Hide&Seek / Googlemaps)
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2010/02/06

199 男の子という生きもの

 アトリエの男どもはいつもはなかなか作業が始められなっかたり、すぐに飽きてしまうことが多く、終いには大騒ぎになって呆れるほど集中できないそんな甘ったれで、落ち着きの無い面倒な生きものだ。でも、何やらみんなで企んで作業しだすとうまく役割分担して力を合わて作業に取り組むのは、いったいどうしてなんだろう。その熱心さはどこからやってくるのだろう。持ち寄ったビー玉を転がすための傾斜のあるコースをつくるアトリエ内の建設現場では、コースとなる段ボールをカットして資材の準備をするものあれば、それらをつなげるもの、傾斜を調整しながら足場をつけるもの、ときよりビー玉を転がして具合をみるものとそれぞれのキャラクターと技術、持ち味をいかした役割が発生している。個々での作業の時では、決してみられない生き生きしとした姿がそこにありました。まだまだ連携は悪いもののひとつのチームが存在していました。男の子たちが野球やサッカーのゲームに夢中になったり、会社や現場でプロジェクトに打ち込む社会性の強い生きものであることがよくわかるアトリエでした。

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2010/01/16

198 ドングリ陣取り遊び

 ドングリがころころ転がり、行き先があてにならないのはいつものことで、まるであのラグビーボールのように気ままな転がり方をします。
 神社の境内や道路、ちょっとした空き地がまだ舗装されていない地べただった頃、棒切れや釘で四角い陣を引いて「陣取り遊び」をしたことを思い出します。まず、四角の隅が各自の陣地になります(だから4人でできる)。自分の手のひらで角を中心につくる扇形の内側が最初の陣地となります。オハジキほどの石ころを用意して陣地から指ではじいて3回で自分の陣地に戻ればその小石の移動した軌跡内が自分の支配下になります。これに成功するとあらたな陣地の角から最初と同じにように手のひらで円を描いて生まれた新しい扇形これも陣地となり、かりにこの扇形の線が他の境界線に交差するとその内側全部が陣地としてひろがります。で、その小石の代わりにドングリで「ドングリ陣取り遊び」をやってみました。広い地べたが無いのでアトリエの土間で、色チョークで線を引き引き・・・。
 ドングリのやつほんとうに気ままでなかなか面白い。地べたに小石の陣取りも時々思いがけない転がり方で一喜一憂したけれど、どんぐりもなかなだ。フットボールの競技中ルール違反してボールを持って走ったのがラグビーの起源というが、足で蹴ることがもどかしくなったのも何だかわるような気がします。ドングリの動きに翻弄させられる「ドングリ陣取り遊び」やってみてね。

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2009/12/30

197『どんぐり小僧』が美術館のホールを占拠

そこは群馬の森。ひろい敷地に巨大なブロンズ製の馬が出迎えてくれる群馬県立近代美術館。秋の日差しの遊園地「るなぱあく」で生まれたどんぐり小僧たちが占拠したのは、彼らにとって果てしなく広く、限りなく天井の高いこのホールです。いつもは、名画が並ぶちょぴり敷居の高い美術館ホールに子どもたちの歓声が響き渡ったのは、1,600を越えるどんぐり小僧たちの中から自分のどんぐりに再会した時です。訪れた子どもとおとながホールの床にしゃがみ込んでひたすらどんぐりを探す姿は、なんて微笑ましいのでしょう。それにしても遠くから眺めるとみんな同じに見えるどんぐり小僧たちが実は、とても個性的でそれぞれまったく異なることが、近づいてみると不思議とよく判ります。大集合してホールを占拠したどんぐり小僧たちはいったい何を話して、どんなことをたくらんでいるのだろう? 次第に冬の日差しが傾いて、彼らの影が怪しく長くのび、森の中が薄暗くなるころ。美術館をぬけだしたどんぐりは、どんな冒険の旅にでかけるのだろう。

*下記 群馬県立近代美術館 アートまつり開催レポートで紹介されています。
http://www.mmag.gsn.ed.jp/art-event/matsuri_report.htm


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2009/11/24

196 『どんぐり小僧の大集会 in るなぱあく』

 秋になるとたくさん実るブナ科の実「どんぐり」は、私たちにとってもっとも身近でなじみ深い木の実です。どんぐりといってもいろいろ種類があって、形もさまざま、なかなか多彩でよくよくながめると、どれとして同じものが無く個性的でなんだか愛おしい生き物のように見えてきます。縄文人はこの実を砕いてどんぐりクッキーをつくって食べていたと言いますが、私たちの中にどんぐり大好きDNAが脈々と引き継がれているのかもしれません。個性的な愛着のわくどんぐりに顔を描いて自分や自分の家族に見立てて楽しむ『どんぐり小僧の大集会 in るなぱあく』を行いました。初めて出会う参加者親子にとってこの手のイベントは、比較的取っ付きやすいものの、いざとなるとなかなか参加する勇気がもてない方もいます。でも、この『どんぐり小僧〜』については別格です。どんぐりたちが簡単にその垣根を取り払ってくれるのです。ひとりぼっちではなんとも寂しいどんぐりも、徐々に仲間たちが増えると活気づいて今にも動き出しそうです。参加したみなさんありがとう。

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2009/11/07

195 つくるの大好き

「手でつくるあそぶみつける」が始まったのは、2004年の春からです。1回目から180回まで上毛新聞に連載された全てをまとめた本を出版しました。本にまとめることを前提に原稿を読み返してみると、やっぱり気になる所が幾つも見えてきてとても困ってしまいました。でも、その時の気分で書いてきた文章がどれもこれもあちこちで繋がっていて、自分でも気付かなかった関係が見えてきました。ここでの主テーマになっているアートとデザイン、仕事と遊び、子どもとおとなは、実はみんな境目なんかなかったんだということを強く感じました。それにつれて、なんだか自分自身がよく判ってきたような気がしたのです。叱られて涙を流す自分の顔を壁に大きく落書きをしてしまったことや、ポトポト流した涙が不思議な形に広がったりにじんだりしたのにすっかり驚いて、どうして叱られていたのか忘れてしまったことなど。幼いころを思い出して、自分はどうやらとても厄介だけど、たのもしい子どもだったんだと…。
この本で紹介した子どもたちとの数々の活動は、私というおとなの内にかろうじて残ってる「子どもこころ」を多いにかき立てて、分別くさいおとなを忘れさせてくれるのです。「子どもこころ」とは、いわばアートする創造的なこころです。ちょっとばかし未熟な、たよりなさそうな子どもたち(でもちがう)。彼らとの活動は私の日常をゆさぶり、忘れている素朴で自由なあそびこころを呼び起こし、なえたこころを奮い立たせ、時には荒んだ気持ちを癒してくれる効力があるのです。

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